英語の勉強は、まとまった時間を確保してから始めるべきだと思っている人は多い。しかし実際には、1日に30分を1回やるより、10分を3回に分けてやった方が、記憶への定着は良くなることが分かっている。
なぜ短時間学習の方が効果的なのか。その理由を知っておくと、学習習慣の設計が変わってくる。
■脳は「繰り返し」で記憶する
記憶のメカニズムを研究した心理学者ヘルマン・エビングハウスは、人間が新しい情報を学んだ後、急速に忘れていくことを示した。学習から24時間後には約7割を忘れるという。
これに対抗する最も効果的な方法は、間隔を空けて繰り返し復習することだ。「分散学習」と呼ばれる手法で、同じ内容を時間をおいて何度も確認することで、記憶が長期的に定着しやすくなる。
逆に言えば、1日に3時間まとめて勉強しても、翌日復習しなければ大半が失われる。短時間でも毎日続ける方が、トータルの定着量は多くなる。
■集中力には限界がある
人間が高い集中力を維持できる時間は、おおよそ25〜45分程度と言われている。それを超えると注意力が散漫になり、同じ時間を使っていても学習効率は下がっていく。
2時間のまとまった学習時間があるとして、後半の1時間は前半の1時間より明らかに効率が落ちる。同じ2時間なら、30分×4回に分けて、間に休憩や別の活動を挟む方が、脳への刻み込みは深くなる。
英語学習においても同じことが言える。疲れた状態で長時間やるより、頭が動いている状態で短時間やった方が、覚えた内容の質が高い。
■「隙間時間」は思っているより長い
1日の中に5分や10分の隙間は、探せばいくらでもある。通勤の電車の中、昼食後の5分、寝る前のスマホを触る時間。これらをかき集めると、1日に30分以上になることは珍しくない。
まとまった時間を「作る」のは難しい。しかし隙間時間を「使う」のは、意識を変えるだけでできる。学習のハードルが低いほど、継続率は上がる。
英訳の練習なら、1問解くのに30秒から1分程度だ。電車に乗っている3分で、3〜5問は解ける。これを毎日続けると、1ヶ月で100問以上の英訳練習になる。
■「やらない日を作らない」ことの価値
長時間学習の落とし穴のひとつは、「今日は疲れているから、まとまった時間が取れない、だから今日はやらない」という判断が生まれやすいことだ。
短時間学習の設計にしておくと、この「やらない」の閾値が下がる。1問だけでいい、5分だけでいいという設定なら、どんなに疲れた日でも始めやすい。
学習において最も大切なのは、総量よりも連続性だ。毎日少しずつ続けることで作られる習慣は、週に一度の長時間学習では得られない。英語力は、日々の小さな積み重ねの上に築かれていく。